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  幼児の自慰行為について、特徴的な表現をお母さんのメールから借用してみます。

  「車のチャイルドシートやベビーカーに乗ると、足をピンと突っ張らせ体中に力を入れて、ずっと力んでいます。

   汗かきなので、顔中汗を流しながら、真顔で力んでいるのです。」

   「2才になる男の子なのですが 眠くなる間際などに仰向けになり 足上げ腹筋のようなポーズを

   長い時では30分以上も汗だくになりながら繰り返すのです。その際まず足を胸の方に引き上げ交差し

   おちんちんを股の間に挟みこみながらその形のまま足を伸ばす・・・の繰り返しで 

   これは眠い時の単なる癖なのか自慰行為によるものなのか判断がつかなくて困っています。」

   それぞれ1歳11ヶ月の女の子、2歳の男の子です。

   一歳、二歳の子が自慰行為!とびっくりされる方が多いようですが、そう珍しいことではありません。

   以下に、お返事を引用します。

    おそらく自慰行為と考えられます。チャイルドシートや、ベビーカーがちょうど局部を刺激したことがあり

   それがきっかけになって始まったのだろうと思います。

   6ヶ月以降いつでも始まるといわれますが、気がつくのは一歳を過ぎてからが多いようです。

   多くは適当な場所(仰向けになって大腿を交差したり、立って椅子にこすりつけたり、うつ伏せで

   畳をこするような)に性器を押しつけ、顔面を紅潮させ、汗をかき、目を固定し、身体をねじったり、

   意識がなくなったようになり、神経疾患と間違われることもあります。

   いわゆるリズミカルな動きを伴うのはもう少し大きくなってからで、そうなるとまわりの人もはっきり

   自慰行為とわかります。悪いことではないので叱らないことが大切といわれています。

   こうした性に関わる行動は年齢とともに変化していきますが、今の時点で本人は何ら

   意識(大人がその行為に持つ意識)しているわけではないのです。

   まわりの大人が、それが原因で頭が悪くなるとか、おチンチンがなくなるとか、みたいなことを言うから

   結局、ある時期罪悪感にとらわれますが、またその時期も乗り越えていくわけです。眠いときや暇なときに

   することが多いようで、しらんふりするのが適切な対応の仕方かと思います。

   少なくともやめさせようとしたり、気を紛らわせようとすると子供もそのうち悪いことのように感じ始め、

   見とがめられないよう隠れてしたりして、性に対する捻れた意識を持ってしまいます。

   しかし日本ではやはり何らかの形でたしなめてきましたし、だからといってみんな性に対する

   捻れた意識を持ってしまったわけでもなく、ま、難しく考えないことでしょうか。


    包茎については、外来でも、質問箱でもとても多い相談です。例えば、こんな風に。phimo

    教えてください。男の子のオチンチンは、どの位(何歳でどれくらい)で、むけるんですか?長男は、4才。

    次男は、1才8ヶ月です。どの子も、お風呂でさわっても、ぜんぜん、むけません。

    自分は女で、自分にないモノだけになんだか不安。    

    乳幼児で包茎を指摘されたり、心配されて来院される患児は少なくありません。

   一般に包茎は仮性包茎(手で亀頭を翻転露出できる)と、真性包茎(包皮の開口部が狭く硬いため亀頭を完全に露出できない)とに

   分類されていますが、乳幼児の場合,包皮と亀頭が癒着している包茎が多く,おなか側に包皮を押し込んでやると簡単にむけます。

   すると、お豆腐のような白いかすがたまっています。簡単に、といいましたが、お母さんたちは怖がってうまくいかないようです。

   実際、少し血がにじむこともあります。まあ、外尿道口部が顔を出す程度にむければ、それでOK。

   排尿時に包皮が風船のように膨らむほど、開口部の狭い包茎のほとんどが,先程述べた白いかす(恥垢)の

   癒着によるものが多く、清潔と、塗り薬で、手術せずに治癒するようです。

   というわけで、乳幼児の包茎の手術適応は,強度の排尿障害を伴うものに限られ,極めて稀です。

   ちなみに、ペニスの大きさ(一般に小さいことを)心配される方が多いのですが、乳幼児は脂肪分が多く、とりわけ

   やや肥り気味のお子さんは、本当に見えないくらいのことがありますが、年齢とともに陰茎も発達しますから、

   ご心配には及びません。

   さらに、ついでに、おちんちんが真っ赤に腫れて、膿がパンツについて痛がって来院される子も少なくありません。

   汚い手で触って、炎症を起こすのです。手洗い、爪切りはしっかりお願いします。お母さんはきれいにマニュキュアしてるのに、、、。 


1歳4ヶ月の息子のことで質問です。生まれて3ヶ月の頃から陰嚢水腫となり、健康診断では自然に治るといわれ

様子を見ていたのですがまだなおりません。2歳をすぎても治らない場合は注射で抜くという方法があると聞いたのですが、

いつをめどに判断したらいいのでしょうか?あとそれには痛みや、後遺症、また水がたまるといったことは起こらないのでしょうか?

どうすべきか迷っています。

以下、お返事しました。

陰嚢水腫は、精巣(睾丸)のまわりや、精巣につながる血管や精子を通す精管の周りに、腹部からしみ出た水がたまった状態で、

健診などでもよく遭遇するポピュラーな疾患です。1歳くらいまでには通り道が自然にふさがれて治ることもありますが、

2、3歳を過ぎると、自然治癒の可能性は少なくなります。注射で抜くという方法もありますが、通り道がふさがらないと再発しますし、

そのたびに痛い思いもし、感染の危険も生じます。安易におこなうべきではないと思います。

よほど大きくパンパンに張っていますと、精巣が委縮する恐れもあり、その辺のかねあいで時期を決め、手術を受ける方がいいと思います。

手術は、水の通り道を切って閉じたり、水がたまる空間を取り除きます。全身麻酔が必要となりますが、入院は数日で済み、

再発、二次感染のおそれはまずありません。ただし、こうしたことは稀ですので、もう少しこのまま待ってみていいと思います。

ただ、陰嚢水腫 に似て、違う疾患もありますので、その点確認はしておいてください。

      


   たしかに指しゃぶりは見ててまわりの者がいらいらしたり、恥ずかしいことのように思ってしまいます。sucking

   例えば、以下のようなメールが                

   うちの長女は9ヶ月になり、とても元気に育っています。離乳食もよく食べるし、楽しく過ごしています。

    ところが、ひとつだけ気になることがあり、ご相談したいと思います。

    それは、指しゃぶりがひどいという事です。生まれたころからしていたんですが、そのうちやめるだろうと思って

    特に気にもしていなかったんですが最近は、夜中チュウチュウしながら眠っていて、右手の親指の爪は薄く、

    皮膚も赤くひび割れてきました。お姑さんに「はやくやめさせなさい。」と言われました。

    いったんは、指にリボンを巻いたり、昼はおもちゃを持たせて忘れるようにとやってみましたが、

    眠くなると指をくわえないと眠れないため、大泣きしてしまいます。それで、かわいそうになって断念してしまいました。

    私もできれば早いうちに指しゃぶりをやめさせたいと思っています。何か良い方法があれば教えてください。宜しくお願いします。

   はじめまして。残念ながら、すぐに止めさせる方法はないと言っていい。

   色々本などでも読まれたかと思いますが、矯正するとまた別のトラブルが起きる懸念もあり、

   私はよほどのこと(爪が感染を起こしたり、歯の生え方に極端な異常がでたり)

   止めようと努力しない方が、お互いイライラせず良いと思っています。

   超音波検査で、すでにお母さんの胎内で始まっていることも確認されています。

   本来子供にとって口はものを探索する器具であって、何でもつかんで口に持っていきます。

   IQの高い子ほど早く指しゃぶりをするようになるといいます。(ゆびしゃぶりをしない子が頭が悪いとはいっていませんが)

   2歳くらいまでは、発達上の当たり前の行為とされており、止めさせることじたい、

   歩きたがるのを阻止するのと同じくらいばかげています。歴史的にも、様々な創意あふれる、荒唐無稽な止めさせる

   方法が試みられましたが、成功したためしはありません。ま、4−5歳までには普通止めるでしょう。

   というより、本人が自然に、何となくまわりを見て、誰もしてないのに気づき、恥ずかしいことなんだ、みっともないんだ、

   赤ちゃんみたいだと自覚して(social pressure)自分で止めて行くわけです。指しゃぶりで問題が起きるとすれば

   それ自体によってではなくまわりの人の態度によって二次的にお子さんが傷ついて生じる様々なトラウマでしょう。

   ただ、お子さんの場合は当てはまりませんが、3−4歳になって急にはじめた場合

   寂しさ、嫉妬、退屈、不安等あらたに生じた問題と関連していることがありますので、

   その原因をチェックし解決してやる必要があります。(00 MAR 28)


初めまして。私には後一週間で6歳になる娘が一人います。nail

その娘の事でものすごく気になる事があるのですが・・・・それは「爪噛み」の事なんです。

もう すごい爪噛みで普通の子どもの半分ぐらいしか爪がありません。

「爪噛みには重大な問題が隠れている事が多い」と よく本とかに書いてあってとっても心配です。

最初は皮膚科に行ってみた方がいいのでしょうか?小児科でしょうか?

それとも もう少し ゆったりと見守ってやった方がいいのでしょうか?

《*娘は4歳頃から自慰行為をしていたのですが 私と同じ布団で寝るため

気になって「なにしてんの??」とか「やめなさい」とかいつも気がつくたび注意していました。

最近は全然しなくなったのですが もしかして代償行為なのでしょうか?》

爪かみと指しゃぶりは似て非なるものですが、以下のようにお答えしました。

はじめまして。 いろいろ育児書など読まれていると思います。 結論からいうと、しかったり、やめさせようとしない。

そのうちいつか治る。ということで、あまり口うるさくいわないことです。指しゃぶりとは、基本的に違うと思っていますが、

対応は一緒で、 行為そのものより、それに対する周りの方の対応がむしろ問題とされています。

背景に、退屈、不安、心配性などがあげられていますが、 原因は、はっきりしないのです。

女の子は、足の指までかむ子がいます。 だいたい小学校に入って、ある程度子供の世界を過ぎはじめると、

自分で恥ずかしい、みっともないと自覚し やめるようです。お母さんは、マニュキュアをされますか。

何かお出かけの折りに、ドレスアップし、ついでにマニュキュアをしてやってみてはいかがですか。

そうしたことをきっかけに、爪を大事にするようになり、やめることもあるといいます。 あまり勧められる方法ではありませんが。

自慰行為の代償という意見も確かにありますが、 子供の自慰行為自体、大人のそれとは違って

やはり気を紛らわす程度の意味しかありません。

ところで、徳川家康も、イライラすると激しく爪噛みをしたそうです。


利き手のことは気になること、4カ月の赤ちゃんの向き癖と、利き手にについて質問がありました。hand

私もすぐにお答えできず、いろいろ調べてみました。以下お返事です。

さて、大ぎっぱな言い方をすると、成長後にはっきりした右利きになった子どもでも、乳児期には、主として左手を使ったり、

両手利きの時期があったりで、何回も利き手の交代ないし移動が認められるそうです。

そして、満2歳頃には、右手利きであることが、かなりはっきりしてきますが、その後、3歳前後にもう一度両手利きの時期を経過した後、

4歳頃になって、やっと利き手が固定してくるということです。 以上は、成長後に右利きとなった子どもについての説明ですが、

後で左利きになった子どももまったく同様で、利き手とは反対の右手利きの時期や、両手を均等に使う両手利きの時期を

何回も通過した後で、4歳頓になって初めて、はっきりした左利きになるもののようです。

つまり、4歳頃までははっきりわからないようです。これは、アメリカのゲゼルという人が、40年くらい前に多数の子供を

映画などでとって調査した結果だそうで、アメリカ人というのはけっこう大規模な調査が好きなんです。

 いずれにしても、ゲゼルの功績は、はっきりした利き手が決まる以前に、成長、発達に伴って、

何回も利き手の交代が起こるものであることを指摘した点にあると思われます。それで、赤ちゃん時代に将来の利き手を

予測することが不可能かというと、そうとも言い切れないようです。ゲゼルは、同じ論文の最後の部分で、この問題を検討しています。

一般に、生後3ヵ月未満の赤ちゃんは、眠る時に、顔を、右か左か、どちらか一方に向けているものですが、

この向きぐせから将来の利き手を予測し得る場合が多いというのがゲゼルらの結論です。さて、ここで困ったのが、

例の頭の形のことです。私は、矯正法をお教えしましたが、利き手を変えてしまうのでしょうか?

そもそも、向き癖というのは環境に相当影響されます。上下左右すべて真っ白の、無響室で育てられれば

その子の本来の向き癖はわかるでしょうが、、、、。左利きにしようとすれば、左を向くように寝かせればなるのでしょうか?

この論文を紹介している、有名な小児科医は、幼稚園の健診で、頭に向き癖が残っている子があり、左がややぺしゃんこの子を見つけ、

この子は左利きだろうと言ったら、ことごとくあたって、名医だといわれ得意になったと書かれています。ムムー。

でも、日本人は、けっこう2−3歳で矯正しますからね〜〜。ゴルフの世界では、お父さんの打つのを前で見ていてまねしていたら

左打ちになったという世界的達人がいます。たぶん、ゴルフだけ左利きなんでしょう。なんだか、答えにならず、すみません。

でも、いい勉強になりました。(10 DEC OO) 参考 馬場一雄著「子育ての医学」