子供の事故

誤飲窒息転落やけど、熱射病、溺水、交通事故、変わった事故チェックシート


 日本の乳幼児死亡率は世界でも最低の水準に到達しています。goin

 しかし、不慮の事故は1960年以降、 死因のトップであり、減少傾向は見られません。この傾向はいわゆる先進国に共通した悩みといえます。病気の予防、治療により相対的に1位になったのですが、身近に危険物が多すぎるのも事実です。

当院における誤飲の統計を見ていただいて、注意を喚起したいと思います。

誤飲は、決して不慮の事故ではなく、知っていれば防げるのです。

細かい内訳(順不同)

樟脳 パチンコの玉 マッチ ビー玉 たばこ(吸い殻)
ベープマット ボタン シャルダン 酒(焼酎) 虫?
ホッチキスの針 おはじき インク ミルトン 魚の骨(鯛、鰺、はげ)
ごきぶりのえさ ベンザエース 粘土 軟膏 おじいちゃんの降圧剤
マニュキア 体温計 クリップ きおうがん(100錠)! 薬(自分のを過量に)
マニュキアの除光液 朱肉 チョーク かたつむり 薬(兄弟のを)
牛乳瓶のかけら キッチンハイター リップクリーム オキシフル ボタン電池
坐薬 コンタクトレンズ 灯油 硬貨(1,10,50) ピーナッツ、節分の豆
押しピン コンタクトレンズ洗浄液 シリカゲル 香水 プラモデルの部品
セロテープ 磁石 おもちゃの鉄砲玉 石鹸(水) 指輪

上のグラフは誤飲された物(1986〜1993)、7年間のべ167例の内訳です。とにかく、宇和島の小さな

小児科クリニックで経験した例です。現実を知ること、これが第一の予防です。

たばこ!圧倒的に多く危険な物です。しかし量によります。落ち着いて何本あって何本なくなったか

       灰皿や、パッケージ、一本なら新しいのか、吸い殻か確かめ、すぐに病院へ連絡しましょう。

       乳児が1/3本以上食べていたら胃洗浄処置を必要としますが実際はあまり食べていないものです。

        日本中毒情報センターたばこ専用電話06−875−5199(テープによる情報提供)無料

くすり!圧倒的に自分の、または兄弟のを一度に3目盛りとか、3日分飲んでしまったというケースです。

      本人のもので風邪薬程度なら大丈夫ですが、種類、量によってはやはり胃洗浄です。

      怖いのは、大人の薬、いずれにしても薬の名前を確認してすぐに病院へ連絡しましょう。

      座薬、目薬、軟膏、ゴキブリやネズミ退治の薬も各1例ありました。

おもちゃ!プラスチックの小さな部品が一番、パチンコ玉、おはじき、などで、多くは心配ありません。

        しかし、咳き込んでいたら要注意!プラスチックの鉄砲玉が気管支に入っていて

        数件病院を巡り、かぜが治らないということで来られ、本人が白状したケースがありました。

        珍しく小学生でしたが言い出せなかったのでしょう。

化粧品!たばこ、薬と同じく、大人が口にしているのを見てまねをするのでしょうか。化粧水、香水    

       マニュキアに除光液、リップクリームをなめていたなどは可愛いものです。         

台所用品!食器用合成洗剤、薬用石鹸、などです。むしろ、ゴキブリ退治に作った硼酸団子などの方が

         危険です。誤飲ではありませんが、台所では、やけど、刃物、ガラスの破片による切り傷などの

         注意が必要です。、

その他!この統計は比較的古いので出ていませんが、ゲーム機などに入っているボタン電池は危険です。

       豆類の気管内吸引も難治性の肺炎を引き起こします。小さい子には決してピーナッツなど与えてはだめ。

       先日も節分の後に肺炎を起こしかけた例がありました。豆類の破片をを誤嚥すると気管支内で水分を吸収して

       ふくらみ、次第に一側気管支をふさぎ、吸気は肺内に入るが呼気は出にくい

       チェックバルブ(一方弁)となり、患側肺が過膨張し、健側肺が圧迫され、呼吸不全が急速に進行していきます。

      灯油も化学性のきわめて危険な肺炎を起こします。

       

      酒も危険です。開業以前のことですが、やかんで燗をして、それを忘れて次の朝燗冷ましでミルクを作って

       飲ませてしまって死亡したケースがありました。

       笑い話としては、カタツムリ、粘土、コンタクトレンズなんていうのも入っています。

       

誤飲ではありませんが、口に物を入れたまま遊ばすのは危険です。

関連情報へ

おはしや、歯ブラシで 口の中を傷つけることがしばしばあります。

      個々のケースに関するご質問はここをクリックして質問箱からどうぞ

POINT

@ 五ヶ月くらいになると指の機能が発達し、小さなものをつまめるようになります。とにかく口に入るサイズにものは何でも手の届かないところへ。二〜三歳になると冷蔵庫も開けるし、台に乗って高いところにも手が届くようになります。
A 見つけたらあわてず状況を把握し、とにかく病院へ。家で吐かしたり、本を調べたりするより結局早く適切な処置がとれます。
B 見つけたら叱らないこと。驚いた拍子に飲み込んだり、吸い込んでしまいます。
C 一度した子は二度する傾向があります。お母さんがうっかりやさんだからです。誤飲に限らず、動物園で猿に引っかかれたり、病院のポスターを破ったりするのは、子供の手の届く距離に親が近づけるからです。
D 簡単にふたが取れたり、破れたりする容器を作る企業も考え直してほしい。また、内容を明記し、誤って飲んだときの処置を表示してほしい。この点、欧米に比べ大きく遅れています。中毒センターには一日100件を越える電話が入るそうです。事実、つながりにくい。

事故はお母さんが忙しい時間帯、あるいはほっとした時間帯に集中しています。

妙に子供が静かなときは要注意!何かやらかしているゾ!

ひつこいようですが注意しましょう。

   薬や毒性のあるものは子供の手の届かないところへ

   毒性の強いものは鍵のかかるところへ   

   薬や毒性のあるものはゴミ箱に捨てないように

   薬や毒性のあるものは内容を記載し、ラベルしておくように

   薬や毒性のあるものは食べ物と同じ場所におかないように

   薬や毒性のあるものは食べ物などの容器に移し替えないように                               

異物

  誤飲とは違って、鼻の穴や、耳の穴、目に物を入れたり、入ったりすることがあります。

  「鼻」小児が豆類、パチンコ玉、玩具の部品、テイッシュなどを鼻の穴に入れて遊んでいるうちに

      とれなくなってしまうことがあります。落ち着いて事情を聞きましょう。叱ると子供は異物を入れたこと自体を否定し、

      そのままにしておくと中で腐って感染を起こします。あわててピンセットなどで取ろうとすると異物をかえって

      奥へ押し込んだり、粘膜を傷つけるおそれがあります。

      まずは異物の入っていない側の鼻孔を押さえてふん!とさせます。うまくいけば飛び出てきます。

     だめなときは無理をせず小児科か耳鼻科へ、ピンセットや鉗子などで取り出すときには、

      表面麻酔を十分に効かせ、適切な鎮静薬を投与してから処置します。いずれにしても子供に恐怖感を与えてしまって

      パニックになるとプロでも大変なのです。

  「耳」小さな虫が耳に飛び込んだ場合、耳介を後上に引張って外耳道をまっすぐにし強い光を当てると、

      飛び出してくることがあります。固形の異物の場合には、これは無理せず耳鼻科でお願いしましょう。

      頑固な耳垢も同じです。

  「目」結膜異物は眼瞼を反転させて目薬を入れるようにぬるま湯で洗いパチパチさせているととれることがあります。

     水で湿らせた清潔な綿棒などで軽くふき取る事ができる場合もありますが、やはり子供に恐怖感を

     与えないようよく説得します。出血していたりとれにくそうだったら、眼科専門医におねがいしましょう。           


 窒息CHOKE  

   窒息が問題になるのは新生児期から生後2〜3ヶ月が圧倒的に多く、ミルクの嘔吐によるものです。

   うつぶせ保育の問題は論議を呼びました。要は、授乳後時間がかかっても十分排気をすること。

   添い寝をしていて母乳を与えながら母親が寝てしまい乳房で圧迫して窒息に至った例もあります。

   年長児では、ネックレスが滑り台のどこかに引っかかって死亡したケースもあり見つけると注意しています。

   スカーフ、ひもの付いたパーカー、ひものついた笛やラッパも危険です。

   風船、ビニール袋なども窒息の原因になることがあります。


 転落DEGRADATION

   大きな事故は脳外科や整形外科を受診されるのでしょう。小児科へ連れてこられるのはちょっとした転倒、転落が多いようです。

    歩行器は勧められません。歩行器ごと玄関のたたきへ落ちた、廊下から庭先へ落ちたということはしょっちゅうです。

    ひやひやするのが診察時にベッドに寝かせるときです。寝返りをしない時期、無造作に寝かせて席を離れるお母さんがいます。

    この数秒間にベッドから転落するのです。柵のないベッドに寝かせる場合、幅の狭い方に縦に寝かせるのです。

    つまり大人のねかたとは90度違うということです。まだ寝返りをしない時期にしばしば転落事故は起きます。

    階段には滑り止めを敷いた方がいいし、床はカーペットにして転んだり転落したときの衝撃を和らげましょう。

    よほど寒くない限り、室内では靴下ははかない方がいいでしょう。                                  


やけどburn

 やけどは事故のなかでも、多いけれど、小児科へ駆け込んでこられるケースは、そう重症はありません。特徴は、1〜2歳に集中していること、だいたい室内、特に居間、台所、で起き、夕方、お母さんが夕食の準備などで忙しい時間帯に起きるということです。つまり、気をつけていれば、防げる事故の第一にあげられます。右の写真は、ストーブに触ってしまったケースで、5本の指に、軽い水疱ができかかっています。

 応急措置はとにかく、流水などで30分以上冷やしておくことですが、時間とともに進行しますし、痛みが強いので、早く処置しておくべきです。衣類の上からの場合、脱がせたりせず、そのまま冷やし、その間に病院へ連絡し、そのまま連れていきましょう。無理に脱がそうとして、こすると皮膚を痛めてしまいます。いずれにせよ、この年齢の子は、触ったらどうなるかがまだわかりません。けれども手を出したいのが、この年齢の特徴。やけどに限らず、動物園で引っかかれた、咬まれた、もすべてこうした行動パターンを知っておけば防げる事故です。

 


 水の事故DRAWN

   海に囲まれた日本は不慮の事故の中でも溺水は先進国の中で特に多く、1−4歳では交通事故、墜落などをおさいて

    第一位を占めています。とりわけ、幼児で多いのは、海や、川など戸外でより、室内、家庭内でであって、そのことは

    注意しさえすれば防げるということです。もちろん、お風呂場でがもっとも多く、洗濯機、たらいなどでもおきます。

    2−3歳にもなるとちょっとした高さは乗り越えるし、いすを使って洗濯機の中を覗いたりしているうちにということがあるのです。

    ほんの数分目を離したすきに、というケースがほとんどです。10cmの深さでも乳幼児は溺れてしまいます。

    乳幼児の人工呼吸法をおぼえておくことと、救急車を呼ぶこと。5分前後の処置が運命を決めてしまいます。    


 

変わった事故RARE

右の写真は、朝起きたら左手がぱんぱんに

はって色が黒ずんでいた、という訴えで

みえた5ヶ月の赤ちゃんの手首の様子です。

よく見ると、小さい輪ゴムが皺の中に!

お母さんが見つけたそうで、来院時、腫れは

ほぼひいていましたが、気づくのが遅れたら

大変なことになっていたかもしれません。

よだれかけがベットの柵にひっかかり窒息死

した例、ネックレスが滑り台のどこかに

ひっかかりやはり窒息した例、

ひも類」には要注意です。

事故ではありませんが
生後3ヶ月の赤ちゃんの、おむつです。

ピンクに染まったといってたくさん持って

こられたものの一つ、おむつが煉瓦色に

染まることはよくあり、これは尿酸が原因と

いわれています。ピンクに染まるとも

書かれていますが、これほど人工的で、

鮮やかだとちょっとびっくりします。

決して加工してはいません。

もういちど安全対策を! accident

おうちや車での安全対策チェック
 
1) 階段や段差のあるところには、赤ちゃんが落ちない対策がしてある。
2) 赤ちゃんから離れるときには、ベビーベッドの柵をあげてある。
3) テーブルの端などに熱い飲み物や食品をおかないようにしている。
4) 入浴時、お湯の温度を湯温計やお母さんの腕などで、必ず確認している。
5) 浴室のドアは赤ちゃんが自分では開けられないようにしている。
6) 浴槽、洗面器、、洗擢機には、水をためておかないようにしている。
7) もらった薬はなんの薬かわかるようにし、もらった日付を記載している。
8) 残った薬、古い薬は捨てるようにしている。
9) たばこや化粧品、薬、洗剤などは、赤ちゃんの手の届かないところに保管してある。
10) 硬貨やボタンなどで、遊ばせないようにしている。
11) ピーナッツなどの乾いた豆、こんにゃく入りゼリーなどは、食べさせないようにしている。
12) お酒、薬、洗剤などのふたが簡単に開かないように工夫している。
13) 家具の角、引き出しやドアなどで、けがをしないような対策がしてある。
14) 家の中に赤ちゃんを一人おいて出かけるようなことはない。
15) 壁にかけてある額などが落ちないような対策がしてある。
16) 自家用車に乗るときは必ずチャイルドシートを使っている。
17) 車のなかに赤ちゃんを一人おいて、少しでもその場を離れない。
18) ストーブなど暖房器具を使うときは、そのまわりを柵でかこっている。
19) 家に消火器が備えてあり、定期的に点検している。
20) マッチやライターは子供の手の届かないところにおいてある。
22) 電気器具のコードをかんだり、引っ張ったりしないように配置を考えている。
23) ビニール袋や紙袋を赤ちゃんの手の届く所には置かないようにしている。
24) ベッドや布団は固めで、うつ伏せ寝はさけている。
  その他,身の回りには危険がいっぱい、子供の行動を予知する習慣をつけましょう。

  

    

HOME