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割りばしをのどに刺した園児が死亡 東京・杉並区


 東京都杉並区内の保育園児(4)が10日、盆踊りで綿アメの割りばしをのどに刺し、三鷹市内の

大学病院で治療を受けていったん帰宅したが、翌日になって死亡していたことが12日分かった。

警視庁荻窪署は、大学病院が適切な処置をしていたか遺体を司法解剖して調べる。

 調べでは、死亡したのは杉並区井草に住む都立高教諭(46)の三男の園児。

10日午後6時5分ごろ、母親と近くの盆踊りに出かけた際に転倒、綿アメの割りばしをのどに刺した。

大学病院の耳鼻咽喉科の医師は「入院の必要はない」と診断、いったん帰宅した。

しかし、11日朝になって園児の容体が悪化、同病院に運ばれたが、同午前9時過ぎに死亡が確認された。

 大学の広報室は「受診したことは事実だが、それ以上は現在調べている」とコメントしている。


綿アメ:
東京都杉並区の死亡事故 死因は頭がい内損傷群


 東京都杉並区下草、都立高教諭、杉野正男さん(47)の三男、隼三ちゃん(4)が、綿アメの割りばしを

のどに刺し死亡した事故で、警視庁荻窪署が12日に行った司法解剖の結果、死因は割りばしの先が

脳まで達した「頭がい内損傷群」だったことが分かった。同署は、隼三ちゃん治療を受けた三鷹市の

杏林大学付属病院の処置が適切だったかどうか、業務上過失致死の容疑もあると見て、

関係者から事情を聴いている。[毎日新聞7月13日]

<結核集団感染>医療機関の危機感の薄さが背景に 猛威を探る                                

病院や学校での結核の集団感染が相次いでいる。30年以上も減り続けてきた患者数が1997年に増加に

転じ、厚生省公衆衛生審議会は6月末、「結核緊急事態宣言」を出すよう同省に提言した。

結核に対する認識の低下、医療機関の危機感の薄さが背景にあり、結核の猛威が再び忍び寄っている。

  ◆薄い危機感

 「結核の診断は難しく、最初の時点で診断できなかったことは不可抗力と理解してもらうしかない」。

医師や看護婦37人が結核に集団感染した疑いが発覚した6月27日、帝京大医学部附属病院の

森宏之副院長は記者会見で頭を下げた。

 結核にかかった同病院の外科医(30)は今年1月に発病が確認されるまで約半年間勤務を続けた。

ツベルクリン検査で、同僚医師や看護婦37人が、結核に感染した疑いの強い「強陽性」を示した。

 結核予防会結核研究所(東京都清瀬市)の森亨所長は「医療技術の進歩で結核の診断は容易になった。

常に結核の危険にさらされている、という認識がないから気づかない」と厳しく批判する。

 ◆集団感染の背景

 集団感染は首都圏の中学でも連続して発生した。感染の疑われる人が20人以上いる場合などを

集団感染と呼ぶ。厚生省によると、94年には11件だったが、98年には41件と急増した。

 こうした事態を受けて公衆衛生審議会は98年から、流行がいったん治まった後再び流行が懸念される

「再興感染症」として結核対策を検討した。今年6月30日には「結核緊急事態」を宣言し、

21世紀に向けての抜本的な結核対策をとるよう求める意見書を発表した。

 結核は若年層に多い病気で、乳幼児期と思春期にかかりやすいとされる。戦後の日本では、

結核菌を無毒化した予防ワクチンのBCG接種が熱心に行われた。若年層に対する結核対策は

効果をあげたが、逆に「結核はなくなった」との油断も生じたようだ。

 現在は乳児期にBCG接種を受け、小学1年生と中学1年生でツベルクリン反応陰性の場合に、

接種を受ける仕組みになっている。中学生では乳児期の接種の効果が残り、ツベルクリン反応も陽性が多い。

ところが、BCGの効果は十数年とされ、多くの場合、乳児期の接種の効果は思春期には切れてしまう。

 森所長は「抵抗力の落ちた高齢者が結核を発病し、菌を広める一方、若い世代に結核菌への

抗体を持たない人が増え、集団感染を起こす下地になっている」と分析する。

 東京都衛生局結核感染症課の松木一雅課長は「密閉度の高い施設の増加など、社会的な変化が

集団感染を起こしやすい要因を生み出している」と指摘する。空調の整ったビルでは、窓を閉め切って

室内の空気を循環させるため、以前よりも広範囲な感染が起きる可能性がある。

 ◆感染防止策

 日本結核病学会は93年に「医療関係者の結核予防対策」の指針を公表した。医療従事者に対する

ツベルクリン反応の実施などの健康管理、病棟の空調管理など病院内の環境改善、マスク着用などの

個人の感染防止策をあげた。

 しかし、森所長らの全国調査では、半数以上の施設は結核の院内感染防止マニュアルを定めていない。

「帝京大だけでなく、どこの病院でも結核の集団感染は起こりうる」と森所長は警告する。

 結核から身を守るにはどんなことに注意したらいいのか。東京都立府中病院の鈴木光・呼吸器科部長は

「せきやたんが1、2週間以上続いたり、微熱や寝汗が気になったら、結核感染を頭に入れて、

医師の診断を受けてほしい。それが早期発見につながり、集団感染を防ぐことになる」と指摘する。

 ◆治療の現状

 結核の特効薬としては、抗生物質の「ストレプトマイシン」が知られているが、現在ではより強力な

「リファンピシン」と「ヒドラジド」の投与が治療の主流になっている。発病者には、この2剤を中心に複数の

薬剤を6〜9カ月ほど投与する。

 しかし、この治療法に抵抗性を持つ多剤耐性結核菌が70年代に米国で現れた。

米国では、2剤投与の効かない患者が90年代には13%に達しているという。日本ではまだ

多剤耐性結核菌が広がっていないが、森所長は「米国のような危険性があることを忘れてはならない」と

話している。

 ◆結核

 結核菌によって起こる感染症で、菌が感染した臓器によって肺結核、腎(じん)結核、腸結核などに分かれる。

結核菌は長さ1〜4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、幅0・3〜0・6マイクロメートル。

感染者のせきやたんなどの排せつ物に含まれ、ほこりなどと一緒に空気中に散らばって感染する。

感染するとツベルクリン反応が陽性となり、体の抵抗力が落ちると、数カ月かかって発病する。

主な症状はせき、たん、血たん、胸痛、発熱で、有効な治療がない場合、死亡率は50%と高い。

[毎日新聞7月3日] ( 1999-07-03-20:34 )

厚相、「結核緊急事態」を宣言=関係団体集め、対応を要請(時事通信)


 厚生省は26日、日本医師会など医療関係17団体、関係省庁など11行政機関を集めて

結核対策連絡協議会を開催。宮下創平厚相は「結核を過去の病気としてとらえるのを改め、

国民の健康を脅かす大きな問題として取り組んでいかねばならない」などとする結核緊急事態宣言を発表した。 
[時事通信社 1999年 7月26日 12:40 ]