QSHUDDERING

あかちゃんのしぐさはかわいいものですが、時に不安になるような動作が見られます。外来ではあまり聞かれない質問ですし、

こんなことで病院へ!と思っておられる方も多いと思います。いくつかピックアップしてみました。

@もうすぐ8カ月の娘ですが、体をぶるっと震わす(1、2秒の短時間)し ぐさをするようになりました。最近は頻繁にするようになり、

初めはおしっこをし ているのかとばかり思っていたのですが、余りにも頻繁で、今日は食事している 間だけでも4、5回。

肌寒いだけなのか、それとも何かの病気なのか気になってい ます。友人にはそういうしぐさで「てんかん」の可能性があるとも言われ、

ますます 心配です。

A6ヶ月の女の子。自分の気にいらないことがあると、手足をつっぱって、痙攣のようになります。顔は、しかめっ面。

普通。2―3秒なのですが、意識を失っている気もします。痙攣なのでしょうか?

BいつもHPを拝見し、参考にさせていただいております。今日は、3ヶ月半になる娘のことでご相談させていただきます。

以前から、眠りにつく前や眠りの浅い時に、激しく頭を左右に振るしぐさを(まるでイヤイヤをするかのように)続けます。

泣いたりぐずったり、起きるわけでもなく、そのまま眠りについてしまうのですが。

また、時折何かにビックリしたときのように手をピクッと動かすこともあります。たいてい、目はボーっとしているか閉じていますので

眠くてしかたがないのかなぁ・・・などと思っていたのですが、あまりにも頻繁なので心配しています。

ちなみに、起きている時はそのようなこともなく機嫌よく遊んでいます。受診した方が良いのでしょうか?

Cはじめまして。五ヵ月の男児の母親です。3ヶ月の終わり頃から気になっているのですが、寝付く前に時々顔を震わせている

ことがあります。たいてい10秒程度でとまり、そのまま寝てしまいます。おっぱいを飲みながら寝つく時に多いようです。

いつもは顔をかくかく震わせるだけですが、一度だけ抱いていて感じられる程身体を震わせたことがありました。

小児科で相談したのですか、寒いかおしっこをしてるんじゃないのと言われました。でもそんな様子でもないし、

少し気になります。ただの気にし過ぎで夢でも見ているだけならいいのですが、他のお子さんにもこういうことは

よくあるのか少し気になり、相談させていただきました。よろしくお願いします。

A 

以下、お返事です。

このような発作は英語で「シャダリング・アタック」「身震い発作」と呼ばれているものです。身震い発作というのは、

乳児期にときどき認められる症状で、発作的に体を硬直させ、頭や背を軽く前屈し、肘や膝の関節を少し曲げた姿勢で

腕や足を細かくふるわせます。発作は10秒前後で終わります。一日に何回も発作をくり返すこともあります。

身震い発作は「背中に冷水が入ってヒャッと身を縮めるときのような動作」「冷水中に入ったときのような動作」「排便時にきばるような

様子」などと表現されています。普段の動作中に突然出現しもとの動作を停止し一点凝視し歯をくいしばり

四肢に力を入れ、身体をこわばらせ、息むような動きもみられ、顔面頸部体幹および四肢の全般的瞬間的な筋肉の収縮で

身体の一部の動作ではなく、「イーツ」「キーツ」といった発声を伴うこともあるようです。顔色は紅潮することがあっても

蒼白になったり、チアノーゼは伴わないようです。

発作の発現には、興奮、怒り、恐れ、不満のような情動的要因が関係しているといわれます。

症状がけいれんに似ていますので、脳波や発作時ビデオを調べた研究の結果も報告されていますが,脳波には異常所見は

ないとのことです。このような身震い発作は,生後6ヵ月以後の、赤ちゃん時代の後半から1〜2年頃までの間に現れる場合が多いようです。

多くのお子さんが年齢とともに発作の回数が減って自然に治ってしまうようです。したがって、特別な治療は不要です。

もう一つ、「イリタブル・ベビー(いらいら・ベビー)症候群」と呼ばれるものは、体を硬くするという点が身震い発作に似ています。

いずれも、昔の言い方をすれば、「かんが強い、疳の虫」ということになります。対応は、この症状のために親が神経質になって

悪循環に陥らないように、極力落ち着いて、優しく、ゆったり抱いてやったり、さすってやったりして落ち着かせましょう。

(15 JUL 02)参考「小児科Vol.43 No4」


Qhead

1才を過ぎた頃から、自分の思い通りにならないと、ところ構わず額をたたきつけます。家の中では、柱や壁、床、机の角など。HEAD

外では、道路や大きな石など近くのものにぶつけています。時には、おもちゃを頭にたたきつけることもあります。

加減をするということがないので、額には常にあざがあり、こぶをつくることもあります。そろそろ、やってはいけない事をしかりながら

教えて行きたいのですが、しかるたびに、額をたたきつけられたらと、悩んでおります。

なにか、原因があるのでしょうか、また、改善する方法はあるのでしょうか。是非、ご指導をお願い致します。

A

1歳を過ぎてくると、さまざまな癖が出てくると同時に、自我の発達に伴う反抗行動、あるいは注目を集めようとする行動が

始まります。あるいは不安感の表現ともいわれています。

おしゃぶりをしゃぶる代わりに頭を打ちつけているようだと表現した学者もいます。特に両親が、その行為に不安を持ち、

それをやめさせるために強制的な方法をとったとしたらなおさらひどくなる場合があります。頭を打ちつける行動は、

しばしばおむつが濡れている、中耳炎、気に人っているおもちゃを取り上げられるといった不愉快なことと関連しているともいわれます。

普通は4歳ころまでになくなりますが、学童期まで続くこともあるようです。

「そろそろ、やってはいけない事をしかりながら教えて行きたいのですが、」とありますが、まさにそのとおりで、ジレンマですが、

とりあえず危険なほど硬い場所、とがったところにはクッションを張るなりしてけがの予防はしておきましょう。

あまりにも強く、長い間打ちつけていると後遺症として白内障になるという論文があるからです。

頭を打ちつける行為を叱るのではなく、どういう時に打ちつけるのかを観察し、その原因が良くないことならそのことを叱るべきでしょう。

お気に入りの帽子があったら、かぶらせ、打ちつけはじめたら帽子が壊れるよ!という方法でなおした例もありますが、、、、。

叱るのではなく、他に気を向かせることも重要です。


Qsbs

●生後4ヶ月になり、すくすく育っていますが、最近新聞で、「揺さぶられっこ症候群」という病気?がある事を初めて知りました。

それで、これまでのあかちゃんの扱いを思い出してみると、一つには、赤ちゃんをけっこう激しく揺さぶると眠むそうになるので

わりあい頻繁に激しく揺さぶっていました。さらに、寝かせて遊んでいる時など足の裏を下から上へとんとんと強く叩くと、

足を一生懸命突っ張って大喜びでしたのでよくそうしていました。ほかにも、赤ちゃんの両手をつかんでちょっと乱暴なぐらい上下左右に

動かしたり引っ張ったりしてやると嬉しそうに笑うので、これもよくやってい たのです。

それで、脳に障害がでたり、手や足などどこか異常が起きているのではないかと急に心配になっています。

検査を受けた方がいいでしょうか?今のところは一見元気なようすなのですが、とても心配です。

●こんばんは。今回はゆさぶられっこ症候群について教えていただきたいのですが、インターネット等で少し調べたことがあるのですが、

揺さぶられた後けいれんだとか寝続けるといった症状が起きるのですよね?そういった急な症状が無くて

後でなんらかの障害が出るということはあるのでしょうか?

うちの6ヶ月の娘は豪快な遊びが好きで、高い高いなどでも笑っていれば大丈夫と何かで読んだことがあるので頻繁にしていました。

ところが、ある育児サイトの掲示板で、笑っていてもしないほうが良いと書かれてあり心配になりました。

A

この症候群は、 1972年に米国で虐待児症候群1つとして報告shaken baby syndrome(SBS)され知られるようになりました。

2003年「小児科」3月号に掲載された、日本ではじめて 報告した先生自身が書いた論文では、 「わが国では筆者が1991年に1

学会報告し、 1997年には小児科学会でSBS3例を日本語で 「揺さぶられつ子症候群」として報告したところ、マスコミにとりあげられ

注目された」とあります。 つまり6年前には日本で3例、それも1人の医師が報告しただけで まぁ、きわめて稀な事態ですが、

その命名がいかにもわかりやすく、マスコミが飛びついてしまったわけです。 そして、過大な不安を与え、育児方法にすら

影響を与えているのです。 その弊害の方が大きいし、それを心配され、検査を希望し、 無用な検査を受けた赤ちゃんも多いでしょう。

もうすでに、マスコミもあまり言わなくなりましたが、少数ながら、 こうした病態が存在することは事実で、

育児書などには小さくでも触れざるを得ません。  

さて、あらためて本症候群は、乳幼児(特に6ヵ月以下)を揺さぶることによって頭頸部が強く動揺し、その結果、頭蓋骨内で脳が動揺すること

によって頭蓋内出血と眼底出血が引き起こされるもので、結果、 死亡、精神遅滞、視力障害を引き起こすといわれ

乳幼児突然死症候群(SIDS)のなかにも本症が含まれる 可能性も指摘されています。

おっしゃるとおり、 虐待や暴力的意図はなくても、あまりに泣き止まないので 苛立ちのような感情から激しく揺すってしまう事、

夫など男性があやす場合などは母親の場合と違って 力が強いので大人からすれば普通な事でも 赤ちゃんにすればすごく負担になる事が

あるのではないか、 まさにそのとおりかもしれませんが、つまり、虐待と全く関係のない日常の育児のなかでも、乱暴な取り扱いが

結果的に本症を引き起こす可能性は否定できませんが、 おっしゃるようなやや乱暴なあやし方や遊びは、

大昔から親子が自然におこなってきたことです。そして、なにしろ今のところ頻度的に、きわめて稀です。

医学界ではよくあることですが、結果的発表されたご本人が意図されたように扱われていません。

著者 ご自身も、その論文の最後に「過剰報道は問題である」と書かれていることも つけ加えておきましょう。

  もしどうしても検査を受けるなら、MRI、眼底検査でしょう。 いわゆる虐待と違い、外傷等がみられないからです。

 


QSPRING

ある温泉施設で、湯船の中で誤って滑ってしまい頭まで、ぶくぶくしてしまいました。多分お湯を飲んでしまったと思います。

何か感染症にかかってしまうのではないかと、心配なのですが、どうしたら良いでしょうか?

まだ、温泉に行ってから24時間たっていません。天然温泉と書いてありましたが、お風呂のお湯はあふれていなかったので、

多分循環式の温泉だとおもうのですが。心配でどうしたら良いかわからず相談させてもらいました。

A

お返事です。温泉、、何かと話題が多いですね。

はじめまして。 今回はレジオネラ感染をご心配なさっているのだと思います。レジオネラ属菌はそもそもクーラー冷却塔で増殖し、

その建物に居合わせた多くの人が肺炎になって有名になったわけです。 その後、各地の温泉施設で同じような事故が起きました。

温泉水は地表に出てきた時点では無菌状態です。 で、通常、湧出した天然の温泉をそのまま湯船に流して溢れた 温泉水はそのまま捨てる

というのが当り前ですが、 垢や菌で汚染された湯を濾過してまた湯船に流し込む 「循環式温泉」、さらに、 溢れた湯を濾過さえもせず

再使用する「廃湯利用式」などもあります。 ま、水道水を湧かして、入湯税を取ったりするくらいですから、 何でもありみたいですね。

  ということで、 レジオネラだけではなく、大腸菌なども繁殖する可能性があります。

ただ、こうした事故が発生して以来 よく消毒されて塩素臭すら漂っているそうです。

  話が長くなりましたが、 今回こうした感染を受けたかどうかは、温泉の管理次第です。 そもそも強い菌ではありませんから

発症するのは抵抗力の少ない お年寄り、乳幼児が主で、お子さんは健康な2歳ですから、 まず、大丈夫ではないかと思います。

が、発熱、咳などが出てきたら早めに小児科を受診し、 今回のことを伝えてください。

普通のかぜとは治療が異なりますから。(AUG 04)